Kanon another1”snowdrop”第11話



〜むげん〜




それは、夢。

たった一人の少女が望んだ、夢。

そのあまりに大きな思いで構成(つく)られた、一つの町を巻き込んだ夢。

その周りの4つの物語・・・それらもまた夢。

それらは密接に絡み合い、一人の少年により、結果が求められた。

ただひとつのこたえが。

しかし、それは、大きな夢を望んだ少女との別れ。

少年はそのことに気づかない。

それはあまりにもかなしいから。

かなしすぎるから。

だから、かれがあらわれる。

この世界の規格外、イレギュラー。

彼の名は、草薙紫雲。

それは少女の望みからの存在か?

それは自身の望むことか?

それもまた、夢なのか。

そう、夢。

だれかの想いが反映される、純粋な世界。

時に過去を。

時に未来を。

そして、現実(いま)を。

鏡のように、TVのように映し出す。

それは世界。

世界のつながり。

見えないつながり。

だから、それは夢の破片。




水瀬名雪は言う。
「分からないよ・・・そんなこと言われても・・・」
それは過去への回帰と今の始まり。

水瀬秋子も言う。
「どの道を選ぶのか・・・それはあなた次第です。私は、なにもできません」
それは、大人として、親としての導き。

天野美汐はうつむき、顔を上げる。
それは過去への悔恨と、未来への意志。

沢渡真琴は叫ぶ。
「祐一なんか・・・だいっ嫌い!」
それは偽りの心。

北川潤は怒る。
「なんで俺はなにも知らないんだよ?!」
それは想い故の焦燥。

川澄舞は剣を振るう。
「私は魔物を討つ者だから」
それは過去を封じ込める呪文。

倉田佐祐理は遠くを見る。
それは覚めない夢を見続ける瞳。

美坂香里は涙を流せない。
それは己への罰。

美坂栞は笑い続ける。
それは強さの証。

相沢祐一は選ぶ。
それはこの夢の終わりへの道。

草薙紫雲は決意する。
それは少女のためのモノであり、悲劇への引き金。

そして、月宮あゆは気づいてしまう。
それは、運命の歯車を回すこと。

それは、夢。

”ボクは、君を信じてるよ・・・祐一君と同じくらいに”

夢の少女のまどろみの想い。

7年間と数日間。

二つの想いの交錯の果ての、

夢の終わりにあるものは・・・

すべてを握る少年は、今はまだ、目を覚まさない。

   続く。

BGM ”dis” by Mica Arisaka(無限のリヴァイアス)


第12話 〜世界の選択〜へ

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