管理人・情野、『えぼらぶ』霧里薫、平良陸による劇場版カブトレポート


始まる前に。
このレポートは管理人の偏った考察である事を了解した上でお読みください。
そして激しくネタバレしますので、まだ見ていない人は読むことをご遠慮ください。

あと留意していますが記憶違いにより、展開の順序や台詞などを間違っている場合もあります。

ですので、そう言ったことに関する苦情は受け付けられない事をどうぞご了承くださいませ。



では、どうぞ。



情野「というわけで、今回で5回目となるレポートです」
薫「……4回目の響鬼レポは?」
情野「うう、すみません。
   そちらは現在ディレクターズカット版を編集中ですのでしばしお待ちください。
   本当に申し訳ないです」
陸「自分の発言の責任はちゃんと取るようにしないとな」
情野「マジで肝に銘じておきます、はい」  
薫「じゃあ、今は深い追及は無しにしますか。
  その代わり、ちゃんと仕上げてくださいね」
情野「了解です」
薫「じゃあ、話を元に戻しましょう。
  ……しかし、ライダー&戦隊映画シリーズも息が長いわねー。
  私としては嬉しい限りだけど」
陸「……俺はなんか毎年見てて詳しくなってきてる自分に気付いて、ちょっと複雑だなぁ。
  いや、面白いから良いんだけど」
情野「陸って……結構素養あるよな、オタクの」
薫「うんうん。
  これを機に少し英才教育でも施そうかなぁとか思っちゃいますよ」
陸「なに?」
二人『いやぁ、何も』
情野「まあ、それはいいとして早速始めますか」

パンフレット(DVD付き)と飲み物を買って、いざ劇場内へ。
でもパンフレットにはネタバレ満載なんで、とりあえず封印。

陸「かなり展開が書いてある事もあるから注意した方がいいかも」
薫「おねーさんとのお約束♪」
情野「約束するなよ。人の自由だろソレ」

そんなこんなで劇場が暗くなり、予告編。

薫「劇場版ウルトラマンメビウスは面白そうねー」
情野「ああ、歴代ウルトラマン大集結。
   これで燃えない奴はいないだろう」
陸「いや、人に因るだろ。
  まあ……これに関して言えば俺も分かるけどね」
薫「さすが陸君男の子っ!」
情野「……当人褒めてるつもりなんだろうけど、褒めてないよーな気も」
薫「何言ってんですか、凄い褒めてますよっ」

その他、興味深い作品がチラホラ。
やはり映画館の醍醐味の、少なくとも一部はここにあると言えるでしょう。

そうしている内にさらに周囲が暗くなり……本編へ。

陸「例年どおり、まずは戦隊か。
  へー今年で30年かぁ……歴史を感じるなぁ」
薫「うんうん。
  魔法、科学、恐竜、宇宙、警察、気や交通……ジャンルは多々あれど、どれも立派な『戦隊』もの。
  来年がどんなのか楽しみだなぁ」
情野「いや、気が早過ぎるだろ。
   まずは今年の『ボウケンジャー』という事で」
薫「うぃ」

というわけで本編の始まり。

プールで遊ぶいつもの面々。
そんな中、ボウケンレッドこと明石暁の腕時計をボウケンイエローこと間宮菜月がプールの中に落としてしまう。
暁は慌てて潜って拾いに行くが、時計は吸水口の中に……と、その時。
突然の地響き……地震と共に、都市の真ん中に巨大な岩山が現れる。

陸「うわぁ……実際に起こったらとんでもない事件だよな」
薫「毎年毎年だけど、興醒めする事言わないの」

ソレとほぼ同時に、町中のテレビに一人の美少女の姿が映し出される。
その少女……ミューズは、テレビを通して全世界に語りかけた。

「私はミューズ。
 強き方よ。
 古代の素晴らしい宝を受け継いでください」

宝……すなわちプレシャス。

陸「プレシャス?」
情野「人類の想像を絶するもの……いわゆる超古代文明の秘宝なんかをそう呼ぶんだよ。
   んで、それが危険な場合回収したり、
   状況によっては破壊したりするのがボウケンジャーの任務ってわけだ」
薫「いわゆるひとつのスプリ○ンね」
情野「……危険な発言はヤメレ」

そんなプレシャスを狙って、ネガティブシンジケート……ガジャ、ジャリュウ一族、ダークシャドウ達が動き出す。

陸「中々に個性的な面々だな。同じ組織じゃないの?」
薫「それぞれがそれぞれにプレシャスを狙ってるのよ。
  互いに敵と言えば敵だけど、ボウケンジャーを倒す為に共闘する事もあるわ」
陸「ぬう、結構入り組んでるんだな」

その侵攻の中、一人の子供が玩具の飛行機を落とし、逃げ遅れてしまう。
玩具を踏み潰し、子供に迫るガジャ配下の戦闘員・カースの一体。

と、その時。
カースの足に何かが巻き付き、一人の冒険者風の男が地面に降り立つ……と共に宙に引っ張り上げられる。
何か……ムチが解かれ、地面に落ちたカースはバラバラに。

薫「インデ○ジョーンズ?」
陸「っぽいですな」
情野「僕もそう思ったんで否定無し。パンフにも書いてますし(ォィ。
   まあ、いまや冒険ものの基本ではあるよね、あのスタイル」

さておき子供を助けたその男は、プレシャスを目指すネガティブシンジケート達を何処か冷ややかな眼で見ていた。
だが、その眼が微かな驚きに彩られる。
その視線の先には……暁、そして彼の仲間達。

勢揃いのネガティブシンジケートを前に、彼らは臆する事無く挑む……!

『ボウケンジャー、スタートアップ!!』

変身と共にオープニング&戦闘開始!!

薫「おお〜各自の戦闘が熱いっ」

それぞれの戦闘で戦闘員を蹴散らし、幹部達を追い詰めるボウケンジャー。
そして、トドメと言わんばかりにサバイバスターにスコープショットをセット。
サバイバスター・スナイパーモードの五人同時一斉掃射「クライマックスシュート」で一気に一掃!!

陸「コメディー調にすっとんでいく面々には笑えたなぁ」
情野「同意……っていうか、これで出番終わりか?」
薫「……多分そうでしょうねー」

これで一安心かと思いきや、今度はクエスター、ガイとレイがクエスターロボに乗って現れる。
彼らの狙いも当然プレシャス。

情野「クエスター登場……となれば」
薫「あの人の出番でしょう〜」

その期待に応える様にボウケンシルバーこと高丘映士登場!
ゴーゴービーグル11,12,13号を合体、サイレンビルダーを駆り、戦いを挑む!!

「ここは俺様に任せときな!」

そんな映士の言葉に従う形で、暁達はミューズが居ると思しき山を登っていく。
その最中、先刻子供を助けた謎の男がボウケンジャー達の前に現れる。

男は暁を坊主と呼び、子供扱い。

薫「ぬぬ。チーフムキになってますね」
情野「珍しいね」
陸「?? どういうこと?」
薫「チーフは近頃の戦隊モノには珍しい冷静でリーダーらしいリーダーなの。
  そのチーフが感情的になり過ぎる、ってのはそんなにないのよ」 
情野「昔のレッドはどっちかと言うと今のチーフみたいなタイプが多かったらしいけどね」
陸「へぇー」

その間にもシルバーとクエスターの戦闘は継続中。
一進一退の攻防が続く中、シルバーにボウケンジャーのメカニック担当・牧野さんからボウケンジャーが向かった山の危険性が伝えられる。
チンタラしてられないと判断したシルバーは、反撃開始。

ジェットカノンの水流で自身に迫る武器を真っ二つ。
クエスターが怯む間に、必殺のトリプルリキッドボンバーを発射!!

薫「わぁー……文字通り穴だらけになっちゃった」
陸「向こう側が見えますな」

必殺技を受けたクエスターロボが爆散するのを見届け、シルバー…映士も山に向かう。

一方、暁達がようやく崖を上りきると、そこには余裕たっぷりにピーナッツを食べる男の姿。

「なに、このおじちゃん」
「明石虹一。俺の親父だ」

菜月や他のメンバーの疑問に答える形で告げる暁。
その事実に驚く面々。
特にボウケンピンクこと西堀さくらは「お父様ですか?!」とリアクション大きめ。

陸「……呼び方に私情入ってないか?」
薫「……うーん。多分そうだよね」

さておき先刻からの険悪ムードのまま会話をする親子二人。

「お前、まだボウズンチャ、とかいうのをやってるのか?」
「ボウケンジャーだ!」

二人の仲は良好ではない……というかむしろ険悪最高潮。
如何ともしがたい二人の様子に困り顔の面々……と、そこにカースやジャリュウ一族のジャリュウ達が現れる。

戦闘かと思われた矢先、ミューズによって作り出された『穴』の中に皆落ちていく。

陸「なんか、落ちてる最中に互いにつかまりあうカースとジャリュウがいるんですけど」
薫「”溺れる者は藁をも掴む”というべきか、はたまた”同類相憐れむ”というべきか……」
情野「まあ、なんにせよ、ちょっと微笑ましいな」

そんなこんなで落ちた先は嵐渦巻く大海。
渦に巻き込まれて消えていくジャリュウやカースを見て、ボウケンジャーの面々は必死に泳ぎ……どうにか脱出。

そこに虹一の姿はない……が、暁は動じない。

薫「このぐらいでどうにかなりそうな人に見えなかったしね」

心配そうな面々に暁はUMAハンターとしての父を語る。

「じゃあトレジャーハンターと同じだ」
「全然違う!」

いつもと違う暁の剣幕に驚く菜月達。
そんな皆の気持ちを代弁するかのようにボウケンブルー……最上蒼太が尋ねる。

「お父さんの事、嫌いなんですか?」
「……親父は人類を愚かだと言う。
 そんな人類が作ったプレシャスをくだらないと言う。
 だが、俺にはそうは思えない。
 プレシャスは人類の叡智だ」

そう思うがゆえになのか、先を急ぐ暁。

しかし、異次元空間なのか何なのか、荒らし渦巻く海の次は、熱砂の砂漠。
如何にボウケンジャーと言えど、このギャップは中々に辛い状況のようで皆バテバテ。

そんな中、特にばてている様子の菜月の水筒が底を付く。
たまらずボウケンブラック……伊能真墨に水をせがむ。

「俺にシリトリで勝てたら分けてやるよ」
「え〜!?」
「……ギブアップ」
「プ、プ……」

思い浮かばない菜月。
そこに蒼太がこう言いながら水筒を投げ渡す。

「はい、プレゼント」

薫「しっかりシリトリに答えながらも、水筒を渡す心意気……見事ですね」
情野「うんうん」

と、その時。
そんなやりとりをする一行の後ろからいきなり炎の壁が現れ、一行に迫る……!!

慌てて駆け出すものの、水筒を落とした菜月が気をとられ、その菜月を助けようと蒼太が戻り……
二人は炎と共にその場から消えた。

消えた二人は炎の空間に囚われていた。
そこにミューズが現れ、宣告する。

「お前達は……ここまでだ!」

炎の中に消えていく二人…一方、砂漠では二人を探すさくらと真墨に暁は先に進む事を命令、更に前へと進む……
砂漠を抜けた三人は森林地帯に辿り着く。

陸「海に砂漠に森……節操無いというか、おかしくない?」
薫「まあ、なんか仕掛けてるんでしょうけど確かにね」

なんと、そこにはすでに虹一が辿り着いていた。
彼は大きな昆虫らしきものを捕らえ、カバンに仕舞い込む。
なんでも彼の狙いは自身が唱えた『恐竜を滅ぼした最強生物』らしく、ここにソレが居るらしいとのことだった。

「じゃあミューズは何者だ?」
「知らん」

そんな彼らを巨大な……先刻虹一が捕まえたものよりも遥かに大きい虫が襲い掛かる。

「虫は嫌!」

虫嫌いらしいさくらさん、真墨に任せて木陰に隠れる……が、真墨君も虫は苦手だったようで逃げまくり。

一方、暁・虹一親子は息のあったコンビネーションで虫を撃破する。
……にもかかわらず親子喧嘩を続ける二人に真墨が口を開く。

「あのさ、俺には親がいなかったから…」

そこに虫の大群が急襲。
真墨、さくらの二人があっけなく捕まり、消えてしまう。

薫「あーあ、折角いい事言おうとしてたのに……」
陸「うう、可哀相に」

暁達も囲まれるが、スコープショットから射出したワイヤーを使い、脱出を試みる……と、その時。
虹一が掴んだのが暁のズボン及び下着だったばっかりにデンジャラスな事に。

薫「わわわっ!(赤面)」
陸「……半ケツだよ(薫の目を隠しながら)」
情野「皆が笑ってるー♪ お日様も笑ってるー♪ るーるるるっるっるるー」
薫「いや、サザ○さん歌ってる場合じゃないでしょ」

ともかく劇場内は皆で爆笑。
かくいう僕も笑ってました……うん、名シーンだ(シミジミ。

さておきどうにか窮地を脱した二人は、ミューズが居ると思しき洞窟に辿り着く。

先へと進もうとする暁に対し、虹一は言う。

「仲間を見捨てて宝探しか。
 お前は本当の宝物が分かってない」

そう言って虹一は、人間を、人間が生み出したプレシャスのちっぽけさを語る。
だが、それを暁は否定、人間とプレシャスの素晴らしさを語り、奥へ進む。

「アイツも愚かな人間になっちまったか……」

そう呟いて息子を見送る虹一の顔は何処か寂しげだった。

一方、最深部に辿り着いた暁はついにミューズとの邂逅を果たす。

仲間の行方を尋ねる暁に応え、ミューズはコードに絡め取られ、捕らえられたボウケンジャー達、
ジャリュウやカース達の姿を見せる。

ミューズは語る。
捕らえた者たちはエネルギー源だと。
全ては『強き者』をココに誘き寄せる為の狂言だったと。
ミューズの狙いは『強き者』と一つになり、遺伝子を取り込み、最強の生命体に進化する事だったのだ。

「貴方がプレシャス」

そう言って一つになろうと迫るミューズに、暁はハッキリと断言した。

「俺のプレシャスは……仲間だ!」
「なんだわかってるじゃねーか」

虹一の介入で危機を脱する暁。
だが、ミューズは暁を、最強の遺伝子を諦めず、
その姿を美少女から怪物……ハイド・ジーンの姿に変貌させる……!!

親子のコンビネーションで一時的にハイド・ジーンを退け、目覚めた面々と共に脱出する一行。
その中で、海や砂漠が全てはシミュレーション(?)だった事が明らかになる。

薫「どうりでハチャメチャだったわけね」
陸「納得」

このまま脱出できるかと思いきや、簡単に追い付くハイドジーン。

そこに映士が到着。
聞いた情報で事情説明しようとするやいなや、見知らぬ虹一に役を取られ不満顔。

しかし、これでボウケンジャーが勢揃い……!

『ボウケンジャー、スタートアップ!!』

「熱き冒険者! ボウケンレッド!」
「迅き冒険者! ボウケンブラック!」
「高き冒険者! ボウケンブルー!」
「強き冒険者! ボウケンイエロー!」
「深き冒険者! ボウケンピンク!」
「眩き冒険者! ボウケンシルバー!」

「溢れるボウケンスピリッツ!!」

『轟轟戦隊! ボウケンジャー!!!』

情野「派手な爆発こそなかったけど……」
薫「それもまたカッコいい〜!!」

戦闘を開始するもハイド・ジーンの強さに圧倒され、あっという間にピンチに陥るボウケンジャー。
だが。

「俺は……ボウケンレッドだああっ!!」

気迫と共に放った、父親譲りの技でハイド・ジーンの動きを封じ一撃……形成逆転!

アクセルテクターを装着したレッドを中心にした決め技・デュアルクラッシャー。
そしてシルバーのサガスナイパー。

二大必殺の一撃をまともに受けて、ハイド・ジーンは爆散!!

「暁、お前中々やるじゃないか」
「ああ。これがボウケンジャーだ」

情野「あ、何気に和解してる」
薫「まあ、完全に、じゃないでしょうけどね」

通常空間に帰還したボウケンジャーは虹一とともに崩壊する洞窟……いや、岩山そのものから脱出。
一息入れるまもなく、脱出した山から巨大化したらしいハイド・ジーンと融合した宇宙船、ストリンクロスが飛び出していく!

「……俺が追い求めたものはこんなものだったのか……」

落胆と失望を隠し切れない虹一。
その対象であるハイド・ジーンのハザードレベルはなんと無限大!!

薫「そりゃあ、宇宙全体に迷惑掛けてきた奴だもんね……」

放っては置けないとボウケンジャーはゴーゴービーグルを全機発進。
救助をシルバーに任せ、自身達は究極轟轟合体・アルティメットダイボウケンでストリンクロスに挑む。

初撃はダイボウケン。
ライダー張りのキックでダメージを与えた……かと思いきや。

いつのまにか背後に回られ、捕縛。
締め付けられる圧倒的な力にあっという間に限界に。

火花を散らすコックピットの中、ボウケンレッドは一つの決断を下す。

その決意の元にアルティメットダイボウケンは分離、ダイボウケンと五機のゴーゴービーグルに分かれる。
そしてレッドは残った五機での轟轟合体を試みる……!

しかし、その合体形態は未知。
下手をすれば動力源であるパラレルエンジンが暴走する危険性もあった。

だがレッドは恐れない……!!

「父さん、これが俺の冒険だ!!」

『合体シフトオン! ドリル、ショベル、ミキサー、クレーン、ジェット……GO!GO!』

そうして完成したのは……ダイタンケン!

ダイタンケンはストリンクロスの胴体を駆け抜けながら、
各ゴーゴービーグルの技を繰り出し、ダイボウケンの開放に成功する。

繰り出されるダイボウケンの必殺技、そして……ダイタンケンのビッグ・ヘッド・ボンバー!!

薫・陸・情野『頭が飛んだぁぁーっ!?』

あまりにも意外な必殺技に思わずあんぐり。

しかし、その威力は本物。
今度こそ爆散するストリンクロス、そしてハイド・ジーン。
爆発する中を再度アルティメットダイボウケンに合体し、飛行・脱出する。

『ありがとう、ボウケンジャー!!』

呼び掛ける声にドリルを振って答えながら、ダイボウケン、ボウケンジャーは帰還して行った……

それを見送っていた虹一は、破壊の後から一つの時計を発見する。
それは冒頭で暁が紛失した時計だった……

事件の後。
いつのまにか消えていた虹一の事を「せいせいする」と言う暁……その背中には一枚の紙切れが。

そこには、

『俺はとっくに宝を見付けてる。 
 お前はまだまだ探し続けろ』

そんな事が書かれていた。
その紙切れを裏返してみると……それが暁が泣いている写真である事が判明。

それを取ろうとする暁と、取らせまいとするかのように写真を回し観る面々。

そんな6人に気づいているのか居ないのか、すぐ側の河の上を虹一を乗せた船が通っていく。
その腕には暁の腕時計。

「アイツめ。まだこんなものを……」

言葉とは裏腹に、優しげな呟き。
そうしてUMAハンター・明石虹一は去っていく。

その向こうでは風に巻かれて写真が飛んでいった……。

そして、スクリーンにBOUKEN DREAMS ON!……で、締め。
無事ボウケンジャー劇場版は終了と相成りました。

薫「今年はエンディングなかったですね」
情野「内容が充実してたから仕方ないけど、あのはっちゃけぶりは毎年の楽しみなんでチョット残念かな」

そして画面が切り替わり……カブトへ。

七年前。
地球に巨大隕石が落下。
都市は破壊され、地球の海は枯れた。

そんな都市の一つ・東京の一角……廃墟に押し潰された少年と少女がいた。
少年は必死に少女に手を伸ばす。
だが……少女は瓦礫の中に消え……少年はただ、無念さに吼えた。

そんな一つの悲劇を飲み込みながら、事態は進行する。
隕石に乗って現れたと思われるワームが地上に広がっていく事で。

情野「ぬぬ」
薫「どうかしましたか?」
情野「いや、ワームが宇宙から来た、というのは実は眉唾で人類に作られたんじゃないかとか推理してたから。
   外れて無念だなぁ、と思ってね」
薫「なるほど。
  ……実際ワームの『正体』がなんなのかは気になる所ですね」
情野「その辺はテレビ版に期待するしかないね」

さておき。
ワームに対抗するための(少なくともそう思われている)組織ZECTは、ライダーシステムを開発し、戦闘に投入。
そうして唯一ワームと対抗しうる彼らは、人類を管理・統制していた。

そんなZECTの管理に反発し、一部の人間がネオゼクトを組織。
世界はZECT、ネオゼクト、ワームで半ば三つ巴の状態になっていた。

そんな中で物語は本格的な幕を開ける……

水を配給するZECT戦闘員・ゼクトルーパー。
その横を一人の男が通り過ぎていく。

そんな男を追い抜いた一台のバイク。
乗っていた男……加賀見新は男を引き止め、
ココから先はZECTとネオゼクトの戦闘になっている可能性があり危険だと忠告する。

だが男はその忠告を拒否。

男「俺の行く道は、俺が決める」

そう言って、なお先へと進んでいく……

場所が変わって、砂漠化した土地の中、一台の車が猛スピードで走っていく。
その車を襲う銃撃・攻撃の前についに横転。
中から三人の人間……男二人と一人の女性が出てくる。

ネオゼクトの中核メンバーたる、織田秀成、風間大介、北斗修羅。
その三人を情け容赦なく威嚇射撃するのは……何十人ものゼクトルーパーとソレを指揮する大和鉄騎と矢車想だった。

情野「おお、矢車さんだ」
薫「この世界だと矢車さんがザビーなのね。
  ……多分影山君はゼクトルーパーのままなんだろうなぁ」
陸「何の事?」
薫「カブトでは変身する人間を変身システムのコアであるゼクター……昆虫型のメカが選ぶんだけど、
  あの矢車さんはテレビ版でその資格を失効しちゃって現在出番なし状態なのよ。
  現在テレビ版ではかつては矢車さんを凄く尊敬してた影山って人が変身してるの」
陸「なるほど」

まあ、基礎はさておき。
そんな一触即発の状況の中に加賀美が現れ、大和に主張した。

「俺達が戦うのはワームです!」

そう叫んでライダー同士の戦いの無意味さを主張する加賀美。

薫「うーん、加賀美君らしくて素敵ですね」
情野「うんうん、加賀美君はこうでないと」

その言葉に感銘を受けたのか、大和は「加賀美の言うとおりだ」と言って、織田に土下座して見せた。

「この俺が土下座までして頼むのは初めてだ。
 ZECTに戻ってきてくれ……!
 その為なら俺はどんな屈辱にも耐える……!!」

陸「中々に熱い人みたいだな」
薫「うん。そうだね。
  ZECTへの忠誠心って言うのかな。そういう意味でも『厚い』感じが凄くする」

だが、織田はそんな大和の肩を踏みつけ、キッパリと告げた。

「俺達ネオゼクトはな、命令されるのが一番嫌いなんだよ!!」

情野「まあ、そういうのが嫌で組織を出たんなら当然なんだけど」

大和はそうされる事で彼らにZECT帰還の意志が無いと悟ったのか、
足を跳ね除け立ち上がると力強く宣言した。

「なら、お前らの根性を叩き直してやる……!」
「最初からそう言え……!」

もはや敵対は確実・殺気は満々。
こうなってしまったは戦闘は避けられないと判断したのか、
織田と大和の元にカブティックゼクターが飛来したのに合わせる様に、
それぞれがそれじれのゼクターを呼び寄せる。
加賀美でさえも戦わざるを得ないと判断したのか、ガタックゼクターを呼んだ。

「変身」
「変身」

織田がカブティックゼクターで仮面ライダーへラクスに。
大和がカブティックゼクターで仮面ライダーケタロスに。

「変身」
「変身」

矢車がザビーゼクターで仮面ライダーザビーに。
風間がドレイクゼクターで仮面ライダードレイクに。

「変身ッ!」

そして加賀美がガタックゼクターで仮面ライダーガタックに変身、それぞれ戦闘を開始する……!!

「キャストオフ!」
「キャストオフ!」
「キャストオフ!」

ザビー、ドレイク、ガタックは自身の装甲を排除、ライダーフォームへと変わる。

陸「装甲排除してスピードが上がるわけなの?」
薫「まあ、それもあるんだけど、ライダーフォーム最大の特徴はクロックアップにあるのよ」
陸「クロックアップ?」
情野「時間操作とでも言うのかな。
   それを作動させると、通常時間とは逸脱した『速さ』で動く事が出来るんだ。
   ちなみにワームもそれが出来て、
   ライダーシステムが唯一ワームに対抗できるのはその辺りに理由があるんだよ」
  
そんなライダー同士の激しい戦闘の最中、一人の男が現れる。

それは……加賀美が危険区域に入る事を制止した男。
男は自身の近くに着弾する流れ弾を気にも留めず、ライダー達の前に堂々と立っていた。

雰囲気に呑まれ、男に注目するライダー達。

「お前は誰だ?」
「おばあちゃんは言っていた。
 天の道を行き、総てを司る男……天道総司」

その男の手に、カブトゼクターが飛来する……!!

「変、身」

構えたカブトゼクターを空中で手放す。
落下したカブトゼクターは、まるでそうなるのが当然のようにベルトの位置に停止し、収まった。
男……天道の姿が、仮面ライダーカブトに変わる……!

「キャストオフ」

カブトは即座にキャストオフ。
ライダーフォームへと変化するやいなや居並ぶライダー達に一撃ずつ入れ、力を見せ付けた後、堂々と宣言した。

「どちらでもいい、値段を付けろ。
 高い値をつけた方に、俺という太陽は輝く……!!」

陸「……凄まじいまでに唯我独尊というか……凄い人だな」
薫「それが今年のライダー、カブトこと天道総司なのよ」

場面が変わり、ネオゼクトの拠点の廃工場。
銀色の仮面を被ったネオゼクト戦闘員・ネオトルーパーが周囲を警戒する中、修羅は語る。

「本当にアイツを、天道総司を仲間にするのか?」

彼女は天道の存在や行動を否定的な目で見ていた。
だが、仮面ライダーカブト・天道総司に、織田は大きな興味を示していた。

「アイツの目には、俺を惹き付ける闇がある」

そう語り、織田は天道を仲間にする事を決意していた。

場所が変わり、料理店ビストロ・サル。
そこでは日下部ひよりと竹宮弓子が料理屋を営んでいた。
そして、そこには加賀美もいた。

薫「テレビ版ではバイト店員だけど、ここでもそうなのかな」
情野「……少なくとも、どうもそれだけじゃないみたいだぞ」

厨房を覗く加賀美の視線の先にはひより。
そしてその加賀美の手には……指輪が入っていると思われる箱があった。

薫「えええええ〜?!! そういう関係なの?! 付き合って一年?!」
情野「薫ほどじゃないけど、俺もビックリ」
陸「なんか分からないけどテレビ版とは違うって事か。……子供さん話についてこれれば良いけど」

こっちの驚きは届く筈もなく、弓子はそんな加賀美をひよりの元へと行かせようと発破をかけていた。
それに圧され厨房に入った加賀美は、これ以上は無いという緊張振りでモゴモゴ。
しかし、ようやく気持ちが固まったのか、告げた。

「お、俺と一生のバッテリーを組んでくれないか?」
「なんだ。バイクのバッテリーでも故障したのか?」

そんな懸命のアピールも彼女には届かず。

薫「いやー、なんというか、女の子にそのプロポーズは通じにくいんじゃないかなぁ」
陸「そういうものかな? 野球のバッテリーって事位すぐ分かると思うけど」
情野「どうだろうなぁ。ただ、個人的には通じない可能性の方が大きいと思うぞ」  

「あ、いやバッテリーって言うのは野球のピッチャーとキャッチャーの事で……」

必死に軌道修正しようとするが、なんというかボロボロ。
そんなビストロ・サルに魚を持って天道が現れる。

薫「本物サバに驚いてた人、次長課長さんでしたね」
情野「だね。お前に食わせるサバはねぇ!が輝いてました〜」

それはさておき。
加賀美のプロポーズを半ば妨害するようにサバをひよりに渡そうとする天道。
だが、ひよりは『知らない人間』に対し、少し警戒する。

薫「この世界では天道の事を知らないみたいですね」
情野「んー。まあ本編でも最初から知り合いだったわけじゃないけど……これがどんな意味を持つのかな」

そんなひよりに自己紹介しようとする天道を、加賀美は話があると表に引っ張っていく。
話とは当然、ZECT、ネオゼクト、カブトの事。

天道は自身を高く買ったネオゼクトに付く事になった事を加賀美に告げる。

「おばあちゃんは言っていた。強きを助け、弱きを挫けってな」

天道のそんな言葉に反発した加賀美は天道を殴ろうとする……が、それはひよりの制止により停止した。
そしてひよりは天道に対し、さっきの言葉は本気なのかを尋ねる。
天道は当たり前のように応える。

「強くなければ生き残れない……それが進化の法則だからな」
「なら、ボクは駄目だな」

そう言った後、ひよりは身体をふらつかせた。
……彼女は七年前の隕石落下の後遺症に苦しめられ、身体が弱っていたのだ。

去っていくひより、加賀美。
倒れたひよりを見たからなのか、天道は加賀美に対し、こう告げた。

「本当の事を教えてやる。
 俺がネオゼクトに付いたのは、ネオゼクトを潰すためだ」、と。

その言葉の真偽はさておき、天道はネオゼクト……織田・修羅・風間に対しゼクトの計画『天空の梯子計画』の詳細を話す。

『天空の梯子計画』……それは軌道エレベーターに繋がれた宇宙ステーションのクロックアップマシンを起動、
ライダーのクロックアップを増幅させ、移送空間から彗星を招き寄せ、水資源を得る計画。
それにより、ゼクトはさらなる権力を握ろうとしている……少なくともネオゼクトにはそう見えた。

薫「でもこれって、加賀美君からもらった情報じゃないの?」
陸「あ、当人が言ってる言ってる。
  情報を与える事で動きを読み易くする、って……うん、すごい理に適ってる」
情野「まあ、問題は天道の腹積もりなんだけどな。
   それにしても田所さんも、岬さんも決まってるなぁZECTの制服」

閑話休題。
『天空の梯子計画』をネオゼクトが行う事で、ZECTの権威を地に落とす……そう織田は提案する。
だが風間は、

「嵐に対し、扇風機で立ち向かうようなものです。
 そんな無謀な事をするくらいなら、ただの風のままで良い……」

と作戦を否定する。

薫「世界が変わっても風間さんもらしいままね」
情野「良くも悪くもな」

その夜、天道は一人で炎の前に立っていた。
視線の先には自身が首から下げているペンダント。
そこに織田が現れる。

天道は織田に問い掛ける……ZECTに所属している『黄金のライダー』について。
相手は、そのライダーと戦う前に既に負けている……そう称されるほどの強さを持つライダーの事を。

「何故そんな事を聞く?」
「どれほどのものか、興味がある」

織田の問いに、天道は不敵に答える。

薫「おお、なんかちょっと漢な空気」
情野「テレビ版含めても天道と『対等』に話せる奴は少ないからなんか新鮮な感じがするなぁ」

場面が変わって、今度は加賀美とひよりのツーショット。
天道の登場で流れてしまった話……プロポーズを今度こそ確かな形で口にする加賀美。

情野「……指数本だけひよりちゃんの手に重ねる加賀美君が切ないです」

だが、ひよりはそんな加賀美の手から自身の手を離れさせる。
……それが拒否を意味しているのは明らかだった。

寒くなってきたから上着を取ってくる……そう言い訳して、加賀美はその場を離れていった。
勿論、大きなショックを受けて。

だが、ひよりが拒絶したのは加賀美が嫌いだったから、ではなかった。
自分の取った行動を亡き母に問い掛けるひより……とそこにワームが数体現れ、ひよりは追い詰められてしまう。

まさに絶体絶命の時、天道が現れる。
彼は彼にあるまじき必死さでひよりを逃がし、激情のままにライダーキックでワームを蹴り伏せる。
そして、そのあと地面に倒れていたひよりを発見した天道は必死にひよりの名前を呼んだ……

情野「ここは、正直驚きました」
薫「テレビ版では慌てた事など皆無に等しかった天道君が感情を露にした……というのが、
  天道君にとってのひよりちゃんの存在の大きさをこれ以上に無いほどに表してましたね……」

ひよりは、天道が何故か自分の名前を知っている事に疑問を持ちながらも意識を失う。
そんなひよりを抱きかかえた天道は、異変に気付き戻ってきた加賀美に病院へ運ぶと一方的に告げた。

その病院で告げられた事実。
それは七年前の隕石の影響でひよりの寿命が残り僅かだという事。
加賀美は懸命に医者に詰め寄るも、どうしようもないという現実だけが突きつけられるだけだった。

薫「だからひよりちゃんは加賀美君のプロポーズを受けなかったのかぁ」
陸「加賀美の足枷になりたくなかったんだろうな……」

ひよりが眠る病室。
天道は七年前の事を思い出しながら、無意識に伸ばされたひよりの手を取ろうする。
だが、何かを押し殺すような表情を浮かべた天道は、その手を取る事なく去っていった。

薫「単純に考えれば、あのときの男の子が天道君、女の子がひよりちゃんなのは確かよね。
  シチュエーションが違うけどテレビ版もそうだし」
陸「だとしたら、あの時護れなかった事を責めてたのかもしれないな……」
情野「そうだね。生きていたとしても『護れなかった』のは事実なんだし。
   それが織田さんが言う、天道の『闇』なのかもね」

一方、無力感に打ちひしがれ、全てがどうでもいいと漏らす加賀美。
そんな加賀美を天道は殴り付け、言った。

「お前は天空の梯子計画を成功させろ。
 それがひよりの為になる」

そんな天道と加賀美のやり取り……それを覗く一つの影があった事に天道達は気付いていなかった。

朝が来て。
加賀美から聞き出した天空の梯子計画の詳細をネオゼクトに語ろうと廃工場に訪れた天道を待ち構えていたのは、
修羅と彼女が束ねるネオトルーパーの銃口だった。

加賀美との会話を見ていた彼女は天道を裏切り者だと断じ、拷問に掛ける。

薫「うわぁ……辛そう」
陸「ああやって、腕を吊られてぶら下げられるって結構キツイらしいからなぁ……」

そんな中においても、天道は天道だった。

「お前、何をそんなに恐れているんだ?
 お前が恐れているのはなんだ?」

と、逆に修羅に問い掛ける始末。

情野「流石天道。そうそうの事じゃ折れないわけね……」

天道に問い掛けられた修羅は、冷静さを欠いてなおも拷問を続けようとする。
だが、それを織田が止める。

織田は天道が持ってきた情報を元に『天空の梯子計画』の乗っ取りの決行を改めて決意する。

天道は裏切り者だとあくまで主張する修羅。
そんな彼女に対し、織田はこう言ってのけた。

「確かにコイツはとんでもない事を考えている。
 それはとてつもなくでかい事だ。
 俺はそれを見てみたい」
「……いいのか? 俺は裏切るかも知れんぞ?」
「その時は俺がケリをつけるさ」

薫「うわー……かっこいい〜」
陸「漢な会話だね。紛れもなく」

そうしてネオゼクトは襲撃・乗っ取り計画を実行に移した。

その頃加賀美は、もう一度ひよりにプロポーズをしていた。

「短い時間でもいい。俺の家族になってくれないか?」
「……少ししか、一緒にいられないかもしれないんだよ……?」
「それでもいい。その少しの間だけでも、幸せになろう」

今度こそ、重ねられる手と手。
そうして、気持ちを重ねた二人は結婚を決意。
ビストロ・サルで式を挙げる事に決めた。

そんな加賀美にZECTからの電話が掛ってくる。
加賀美はすぐに帰ってくると言って、ZECT基地へと向かった。
ひよりの身体の異変に気付く事無く。

一方ZECTでは、天道が加賀美に伝えた予定よりも早く襲撃を決行した事が既にバレていた。
天道は自分を利用しただけだったのか……と憤る加賀美は、計画実行の繰上げの為に大和と共に軌道エレベーターに搭乗する。

そして地上ではネオゼクトとZECTの戦いが始まっていた。

メイン襲撃は天道・織田。
修羅、そしてネオトルーパーと共に陽動に赴くのは風間。

「……私としては、戦場に花を連れて行きたくはないのですが……」
「これが終わったら、私にメイクしてくれないか?」  

陸「メイク?」
薫「風間さんはテレビ版でメイクアップアーティストなの。
  風間流奥義アルティメットメイクアップは強烈よ」
情野「うん、色々な意味で強烈だ」
陸「……突込み所満載だけど,あえて突っ込まないからな」

修羅の言葉に頷き、進む風間。
だが、そこで彼を待っていたのは……完全なまでの包囲網。
そして、修羅や彼女が率いるネオトルーパーでさえ、風間……ドレイクに銃口を突きつけていた……!!

「どういうことだ……!」
「女が花なら裏切りは甘い蜜の味。
 さようなら、風のボーヤ」

そう。
修羅こそが『裏切り者』。
彼女はZECTの為にネオゼクトに所属していたに過ぎなかったのだ。

圧倒的な銃弾の前に、変身していながらもダメージを受けていくドレイク。

薫「……なんでクロックアップしないの……?」
情野「多分、出来なかったんだよ。
   クロックアップすれば圧倒的な動きは出来る。
   でも、そのクロックアップ発動までの動きはあくまで通常時間でのもの。
   如何にライダーでもその間の隙を突かれたらどうしようもない……」

変身が解除された風間は、倒れ付す。
最早二度と立ち上がれないのは明白だった。

「私はただ、風になりたかっただけ……」

あまりにも無念な風間の死。
そして、その出来事による異変は天道達にも波及する。
矢車指揮による完全な待ち伏せがそこにはあったのだ。

「これが完全作戦……パーフェクトミッション」

どうにかバイクで一時的に包囲を突破するも、修羅の裏切りで追い詰められる二人。
その状況で、織田は決意する。

「お前は軌道エレベーターに行け。
 お前は天を、俺は地を制す……!!」
「面白い……!!」

情野「この映画における織田と天道の会話は何処までも熱いです」
薫「いや、ホント」

天道……カブトはカブトエクステンダーに乗って、キャストオフ。
エクスモードになったエクステンダーで、
軌道エレベーターの彗星からの水の取り入れ口を使い、天空へと上がっていく……!!

そしてヘラクスに変身した織田は、ザビーに変身した矢車と激突する……!!

一方、エレベーターで宇宙ステーションに到着した加賀美。
先へ進もうと扉を開くと、そこには既に天道がいた。

「よう。遅かったな」
「天道……!」

視線を交錯させる二人。
この場に二人だけならば、加賀美は天道の真意を問い質していただろう。
だが、それはもう一人のライダーの存在によって妨げられる。

「加賀美、行け。
 この蛆虫は、俺が始末する」

大和の言葉に頷き、加賀美はクロックアップマシンへと向かう。

情野「天道を責めるより、ひよりのために計画を優先させたんだろうな」

そして残された二人はカブト・ケタロスに変身し、対決を始める。
激しい火花を散らしながら、斬り、撃つカブトとケタロス。
戦いの中、壁を破壊し宇宙空間に投げ出された二人はクロックアップして、ようやく戦闘体勢を整える。
そうして、宇宙空間での戦闘を開始する……!

陸「?? どうしてクロックアップで慣性が消えるんだ?」
薫「うーん、推論だけど……
  クロックアップする事で漏れ出す空気の流れやらも緩やかもしくは停止状態になったんじゃないかな」
情野「二人はクロックアップしてるからそもそもの流れからも抜け出ているだろうし。
   だから体勢を整えることが出来たわけ……と僕も思うよ」
陸「うーむ、実際はどうなんだろ」

さておき。
二人が戦闘している間にクロックアップマシンに辿り着いた加賀美は、ガタックのクロックアップでマシンを起動させる。
移送空間の展開……彗星の存在の確認……全ては順調に見えた。

だが、計画は全く予期しない方向に進んでいく。
移送空間から現れた彗星の真後ろに、巨大な隕石が存在し、彗星と共に引きずり出されたのだ。

「なにっ!!??」

驚愕する加賀美、ZECTのメンバー達。
その驚きも冷め遣らぬ間に、隕石が彗星に衝突し、彗星が粉々になってしまう……!!
それは事実上、計画の失敗を意味していた。

そして、彗星と隕石の激突による衝撃波はカブトとケタロスをステーションから弾き飛ばし、地球へと落下させていく。

その頃地上ではザビーとヘラクスの激突にピリオドが打たれていた。
渾身の力でゼクトクナイガン・アックスモードをザビーに叩きつけるヘラクス。

そのダメージにより、ザビーの変身が解除される……

「まさかこの俺に、完全なる死が訪れるとはな……」

微かに笑みさえ浮かべ、矢車、死す。

それによりついに裏切り者・修羅と対峙するヘラクス。
修羅はヘラクスに対し自信ありげに「私達にはまだ大和がいる」と言う。

だが、その大和・ケタロスは……

「我が魂はゼクトと共にありぃぃぃっ!!」

大気圏突入の炎に包まれたまま叫び、基地に激突し、散っていった。

情野「いろんなところで言われてるけど、後にも先にもこういう死に様のライダーはこの人だけかもなぁ……」
薫「でも、見事な死に様だったのは紛れも無い事実だと思います」

「当てが外れたようだな。
 黄金のライダーでも呼んだらどうだ?」

大和の死を見届けたヘラクスは修羅の銃撃を受けながらも前に進んでいく。
そんな彼が修羅を見失った時。

振り向いた先には、薔薇の花を持った金色のライダー……仮面ライダーコーカサスがいた。

果敢に挑もうとするヘラクス。
だが。

情野・薫・陸『え?』

あっという間にダメージを受け、倒れ付すヘラクス。
それはクロックアップさえ凌駕する動きであり、敗北だった。

「天道、お前がいれば……」

倒れ、呟きながら息を引き取る織田……
戦いに敗れて息を引き取る姿は、最後まで戦い抜いた戦士に相応しい死に様だったのではと思いました。

そうしてヘラクスを倒した金色ライダーの姿を、カブトエクステンダーのお陰で無事に地上に戻ってきた天道が見つける。
天道は早速動こうとするが、それを加賀美に殴られ、阻まれてしまう。

今回の行動の真意を問う加賀美。
天道はそれにZECTの行動には裏があると答え、隕石の事を指摘する。
すなわち、全ては最初から仕組まれていた事ではないのか、と。

加賀美はそれに否定しつつ、何故こんな事をしたのかを問う。
それに天道はハッキリと「ひよりの為」と答えた。

「お前もひよりの事が……?」

そんなおそるおそるの問い掛けに、天道は一拍間を置いてから驚きの事実を口にした。

「ひよりは……俺の妹だ」

薫「え? え? えええっ!?」
情野「マジ? マジですかっ?」
陸「でも、それだと確かに納得は出来るな。
  劇場版に関して言えば、炎の前で眺めてたペンダントやら幾つか伏線はあったし」

その事実に驚く加賀美に、電話が掛ってくる。
それは弓子からの電話。
ひよりが倒れたという、電話だった。

その頃世界中にZECT総帥である加賀美の父の言葉が走っていた。
地球に向かう隕石の事、それを反物質兵器搭載ミサイルで破壊する事を伝えるもの。
しかし、それは偽り。
実際には隕石の中にいる大量のワームを目覚めさせ、ワームの『擬態記憶』で人類を『存続』させようとする計画だった。
全ては、その為に周到に準備された計画だったのである。

修羅は、その計画内容を加賀美の父と三島の会話を聞く事で知ってしまう。
その事に気付いた加賀美総帥は右腕である三島に始末を命じる……

情野「それにしても『ねずみが一匹……』の怪演ぶりが素敵過ぎました、加賀美パパ」

病院に向かった天道と加賀美。
天道は加賀美に語った事実をひよりにも明かし、それを受けてひよりは結婚式を病院で上げる事を決意する。

天道が神父となって上げる結婚式。
二人は結婚衣裳を着て、誓いの言葉を確かに結んだ。
それは厳かで、静かで、儚い夢のような情景。

そして、式が終わった後……ひよりは静かに息を引き取った。

呆けた、というより疲れきった様子の天道。
そこに修羅からの電話が掛ってくる。
全ての真実を告げ、頼れるのは天道しかいない、そう告げて、修羅もまた絶命した。

電話の後、咆哮する天道。
その叫びには、一体何が込められていたのか……それは天道にしか分からない。

情野「理由としては、ひよりが亡くなった事が大きいでしょう。
   でも、それだけじゃないと僕は感じました。
   なんとなくですが、どうしようもない力に翻弄される人間や世界に対する苛立ち、
   あるいは色々なものを助けられなかった自分の無力さへの怒りだったように思います」

そして、夜が明ける。

ひよりに『付き添っていた』天道が立ち上がるのを見て、加賀美は声を掛けた。

「行くのか?」
「お前は、ここに残れ」
「……お前の戦いは、俺の戦いだ」

もう、ここに至って二人の間にそれ以上の言葉は要らなかった。
互いが何の為に戦ってきたのかを、もう十二分すぎるほどに理解しあっていたから。

そして、白と黒の衣装を着た二人が走り出す。
対照的な姿に変身し、ワームの群れを叩き潰し、軌道エレベーターを上っていく……!!!

薫「この間の『静かさ』が、素晴らしい演出だったな……」

そうして上り詰めた二人の前に現れたのは、最強のライダー。

薫「ホントに武蔵さんでしたねー」
情野「個人的にはいい配役だったと思います」

「薔薇に彩を加えましょう。
 裏切り者の血と、屈辱の色で」

格闘の型を取りながらの変身。
圧倒的な力を感じさせながら、黒崎一誠は仮面ライダーコーカサスとなる……!!

対するカブトとガタックはクロックアップで挑むものが……!

情野「やっぱり駄目か……!」

圧倒的なまでの『速さ』。
それもその筈、コーカサスのクロックアップは二人のそれを上回る『ハイパークロックアップ』なのだ。
そして、その源はベルトに装備されたハイパーゼクター……!!

「貴方の狙いは最初からこのハイパーゼクターでしょう?」

コーカサスは天道の考えを知っていた。
そう。
天道は初めからコーカサスのハイパーゼクターを狙っていたのである。

しかし、圧倒的なコーカサスの強さの前には成す術もなく。
ガタックは倒れ、ついにはカブトも追い詰められる。

「……お前はそれで良いのか?!」
「人間もワームも関係ありません。
 強いモノ、美しいモノを花は見ています。
 私はそれで構わない」

天道の問いに対する答えは、ヒトとしては異端の思考。
だが、それこそがZECTの意志と言っても過言ではないだろう。

薫「意志さえ残せばいいってものじゃないでしょうに……」
情野「でも、それも絶望ゆえの選択肢なんだよな……」

会話も終わり……ついにコーカサスがカブトへ必殺技を放とうとした、その時。

『新に会えてよかった』

加賀美の脳裏に浮かんだひよりの言葉が、ガタックの身体を動かした……!
カブトを自身の身体を盾にする事で、コーカサスのキックから護ったのだ……!!

そして、カブトはその瞬間を見逃さなかった。
コーカサスからハイパーゼクターを奪い、宇宙へと放り出したのである。
そうしてハイパーゼクターを入手したカブトは、変身が解け重傷の加賀美を脱出ポッドに乗せた……

情野「天道が加賀美に何かを告げようとして結局何も言わなかったのが、なんとなく痛かったです」
薫「多分、天道君らしからぬ事を言いたくて言えなかったんじゃないかなと思いますね」

地上に向かう加賀美のポッド。
しかし、それをコーカサスは見逃しはしなかった。
  
「……貴方だけは許しません……」

確実なる勝利を奪われ、ハイパーゼクターを奪われた恨みとばかりにポッドの窓を叩き割るコーカサス。
当然空気が流れ出て、加賀美もまた死に至りかける……!!

だが、そうはならなかった。

カブトは奪ったハイパーゼクターを作動……最強形態であるハイパーカブトへと変身を遂げる……!

そのまま、ハイパークロックアップを作動。
なんとハイパークロックアップは時間を可逆し、コーカサスが窓を割る直前まで巻き戻す……!

陸「これが『すでに戦う前に勝っている』理由か……!!』

窓を割ろうとしたコーカサスの腕を取り、放り投げる。
そして……『マキシマムライダーパワー』により極限まで高められたライダーキックでついにコーカサスを撃破した。

だが、このままでは隕石衝突、ワームによる人類滅亡は避けられない。

田所さんでさえ「今更カブトに何が出来るんだ……!」と零す。
それだけどうしようもない状況。

だが、加賀美だけは確信していた。
カブトならば、天道総司ならば、この状況を打開できると信じていた。

「アイツは……天の道を行き、総てを司る男ですから」

加賀美の言葉に応えるように隕石に向かうカブト。

「おばあちゃんが言っていた。
 ちゃぶ台をひっくり返して良いのは、余程飯がまずかった時だけってな」

そう。
今こそ、ちゃぶ台をひっくり返す時。

カブトの狙い……それは隕石ごとハイパークロックアップで七年前まで戻り、
最初の隕石に二度目の隕石を叩きつける事で被害を減らし、未来を変えるというものだった。

そして、それは成功する。
未来の変化に伴い、消えていく人々。
七年前への移行……『テレビ版と同じ』隕石の落下。

情野「そういう事だったのか……!」

そう。
現在のテレビ版カブトは、劇場版の後の物語だったのである。

そして、全ては冒頭のシーンへと収束する。

瓦礫に埋もれた少年少女……そこにカブトが舞い降りる。
天道は、ベルトを少年……かつての自分に託し、変化した未来に伴い消えていく。
少年はベルトの力で瓦礫から這い出て、手を伸ばす。

「大丈夫、僕が傍にいる」

そして……その言葉を証明する手は、今度こそ確かに少女に届いた……

それから、七年後。

『元気』なひよりがそこにいた。
隕石のせいで治療不可能な病気にかかったりしていないひよりがいた。

「大丈夫。ボクが傍にいるよ」

『大丈夫だ。俺が傍にいる』

その言葉は確かに存在し、約束は今も守られている。
それを証するかのようなひよりの笑顔と、青い空が映り。
劇場版カブト主題歌『ONE WORLD』が流れ、エンディングと相成りました。





薫「では、今年の感想は?」
情野「今年は……ぶっちゃけ面白かった。
   全体的なバランスでは劇場版ライダーシリーズでも屈指の出来だと思うよ」
陸「ふむふむ」
情野「アクションシーンの少なさや、
   組織関係辺りのバランスなど個人的に気になる点もありましたが、
   ソレを含めても凄く面白かったです。
   個人的には大満足!!
   お陰様で内容いい意味で濃厚すぎて、色々思い出せない点も多々あるのは問題ですが(汗。」
薫「うんうん。
  とまあ、こんな感じで、またしてもあらすじ大紹介になったレポート如何でしたでしょうか(汗」
陸「何回やっても、レポートじゃないよなぁ、これ」
情野「うううう(涙。
   あ、まあ、ともかく。
   今まで同様、これが何かしらのお役に立てれば幸いです。
   無いとは思いますが……
   それでわ」

三人『さようなら〜』   



戻ります